
ここ最近、私の中で一気に個人開発のギアが入り、文字通り没頭するような日々を送っていました。
それ以前はしばらく開発の手が空いていた時期もあったのですが、スイッチが入ってからは一転。気がつけば現在、以下 5 つの個人プロダクトを同時並行で製作・運用するに至っています。
| プロダクト名 | 役割・概要 | 技術スタック(主要) |
|---|---|---|
| Tracc ★ | カンファレンス運営の効率化 | Dart (Flutter), Firebase, Cloudflare (Workers + KV), AWS (S3 + CloudFront), Node.js (TypeScript), React |
| Rocket Form | 入力フォームにおけるボット設置支援 (EFO / PAY) | Node.js (TypeScript), Cloudflare (KV + D1) |
| Commitment Board | チーム決め支援 | Node.js (TypeScript), Cloudflare (KV + D1) |
| Image Go (imgo) | 画像圧縮・最適化 | Rust, GCP (Cloud Run), Node.js (TypeScript), Cloudflare (Workers) |
| Multi Post Dash | SNS(X、Bluesky、Threads、Mastodon)同時投稿 | Node.js (TypeScript), Cloudflare (Workers) |
開発者は自身 1 人。しかしながら Claude や Gemini の協力も得つつ、CTO であり CEO、そして CS としての側面も兼ね兼ねる「フルスタック」な運用体制で進めています。
一見バラバラに見えるこれらのプロダクトを、破綻させずに回し続けるための戦略を共有します。
0. なぜ Tracc を作ったのか
5 つのプロダクトのうち、最もリソースを割き、情熱を注いでいるのが Tracc となっています。
カンファレンスの開催に際し、ほんの一瞬の熱狂の裏で、とてつもなく大きな「泥臭い運用」が行われています。
私自身、色々なカンファレンスのスタッフ業に関わっている中で感じたのは、運営の煩雑さが本来注力すべきコミュニティの熱量を削っているという課題にありました。
中でも特に、スポンサーチームに対して気付かされることが多くありました。本来、最も感謝され重要視されるべきチームが、管理項目の多さと煩雑さゆえに「最も敬遠される役割」になってしまっています。
また、運営メンバーの多くは本業やプライベートを抱えた有志です。熱意はあるのに、ツールの不備や情報の散散によって、その貴重な時間が削り取られていく。
こうした 運営の煩雑さが、本来注力すべきコミュニティの熱量を削っている という課題を解決したい。
「運営を、もっとスマートに」
このメッセージこそ、この Tracc の存在意義に示させていただきました。
単なる管理ツールではなく、カンファレンス文化そのものを支え、次世代へ繋ぐための「基盤」として設計しました。
1. インフラ・技術選定
運用のベースに Cloudflare を組み込んでいます。
DNS 管理だけでなく、Workers を使った軽量なバックエンド処理や、キャッシュによる爆速のレスポンスを実現しています。
2. 「点」を「線」にするエコシステム
全ての機能を Tracc に盛り込むと肥大化(機能過多)してしまうため、あえて独立したプロダクトとして切り出す判断をしました。基本思想は Tracc 同様、カンファレンス運営の煩わしさをゼロに近付けるための特化型ツールとなります。
これらは単体で機能しつつも、運営全体の体験を繋ぐ役割を持っています。
たとえば、スポンサー協賛フォームやセッション募集(Call for Sessions)といった入力ハードルの高い場面では、Rocket Form を用いてチャットボット形式で最適化し、エントリーの心理的障壁を下げることを目指します。そこで集まった協賛企業のロゴ画像や登壇者の紹介画像といったアセット類は、Image Go (imgo) で自動的に圧縮・最適化し、そのまま運営プラットフォーム側で扱いやすい形に整えます。
また、運営メンバー内での「誰がどのチームに、どの程度コミットできるか」というアサイン状況は Commitment Board で可視化し、コアスタッフの適切な配置を支援します。そして、イベントが動き出してからの複数媒体への告知やアナウンスメントは、Multi Post Dash によって一元化し、発信のワンオペレーション化を実現しています。
全てを一つの巨大なシステムにするのではなく、特化したパーツを組み合わせることで、運営に関わるあらゆる「困った」をシームレスに解決するエコシステムを目指しました。
3. 現場への適用とこれから
どれだけ仕組みを整えても、実際の現場で使われなければ意味がありません。
たまたま私自身がコアスタッフとして運営に携わらせてもらっている FlutterKaigi 2026 でも、今年の 5 月 15 日から開始されたスポンサー協賛の申し込みフォームに Tracc の仕組みが導入されているほか、スタッフのアサイン調整には Commitment Board を、提出画像などのアセット管理には imgo をそれぞれ導入し、実際に稼働を始めています。

(スポンサー協賛の申し込みフォーム)
自ら当事者として直接参画しながら、その場で見つかった運用上の課題をすぐさまコードに落とし込んではツールを改善しています。こうした現場主義を徹底することで、ようやく本当に使えるシステムが育っていくのだと実感しています。
ここ最近で一気にギアを入れた個人開発の「現在地」はここまで。引き続き、コミュニティの熱量を裏側から最大化するために、手を動かし続けていきます。